生き方を提唱する本「生きる技法」
一般的に自立するとはだれにも依存しない生き方だと思われている。
しかし、この本はそれを否定してそこから人の新しい生き方を提唱している。
自分の人生について悩んでいたり、このままの生き方で大丈夫なのだろうかと考えるときに一助となる本だと感じた。
生きる技法という本のタイトルになっているように、人生をどう生きるかというよくありそうなテーマだが、通説をひっくり返すコペルニクス的転回のような提案している。
著者の安冨歩さんもこの本のはじめに自分も生き方について悩んできたと書かれている。
構成としては、
- 自立
- 友達
- 愛
- 貨幣
- 自由
- 夢の実現
- 自己嫌悪
- 成長
の8つのテーマである。
それぞれのテーマの言葉にしっかりと定義が与えられていて、かつ文章も論理的であるので納得感が強い。
特徴的な部分としては、生き方を考える上での根本原理つまり前提に当たる部分を
自立とは、多くの人に依存することである
という一見矛盾してるだろ!?って思われるところから出発している点。
どういうことかというのを簡単に説明すると、依存する人を減らせば減らすほどその数少ない依存先に従属するようになるということである。
また、テーマの1つである自由についても書かれており、その定義が
・自由とは、選択の自由のことではない
・自由とは、思い通りの方向に成長することである
と与えられていて、読んでいて納得できる。
イメージとしては、植物が種から芽を出してスクスクと成長するというようなことが言われている。
著者である安冨歩さんは東京大学の東洋文化研究所というところで教授をされている方で、京都大学経済学部を卒業されている。
貨幣という切り口のテーマがあるのは経済を専門にした独自な視点という点で非常に魅力的である。
また、文章が論理的に展開されているのも、論理性の高さを如実に表しているのだろう。
この本を読めば、生き方に衝撃をうけることになるだろう。
あまり人に助けを求めようとしてこなかった自分だが、この本を読んで他人に助けてと言えることのすばらしさを知って、すごい気持ちが楽になった。
そういった点で、心がなんかモヤモヤしているような人にはぜひ読んでみる価値があるのではないかと思う。