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価値ある仕事をするには?~イシューからはじめよ~

ビジネスパーソンであると、良い仕事をしたいと思うことだろう。

では、どうすれば良い仕事ができるのか、そもそも良い仕事って何だよ?って言うところに対して、解決策を提示している本が今回読んだ本である「イシューからはじめよ」である。

 

まず、価値の高い仕事とは何か?

この本では、

イシュー(issue)の度合いが高い

・そのイシューに対する解の質が高い

という2次元的な考えで定義されている。

 

具体的にみてみよう。

まず、”イシュー”というのは、日本語で言うと、”問題”となるのであろうが、それだとまだ漠然としていてよくわからない。

本書では、さらに踏み込んだ定義がされていて、次の2つの条件を両方満たすものとしている:

A)2つ以上の集団の間で決着のついていない問題

B)根本に関わる、もしくは白黒がはっきりしていない問題

 

そして、”イシューの度合い”というのは

”自分の置かれた局面でこの問題に答えを出す必要性の高さ”

というものであるらしい。

つまり、自分にとって重要な問題ということになるのだろう。

 

一方で、”解の質”に対しては、

”そのイシューに対してどこまで明確に答えを出せているかの度合い”

とのこと。

 

価値のある仕事といった時に、真っ先に思い浮かぶのは良い結果を出そうとする、すなわち解の質にこだわってしまうが、そもそも対象としている問題=イシューが重要なものであるかどうかという点も考慮しろと言っていると感じた。

簡単に言うと、些細な問題に大事を取るなってことであろう。

 

本書でも、解の質を上げていって価値のある仕事をしようとすることを”犬の道”と呼んでいて、そのようにするなと言っている。

すなわち、一心不乱にたくさんの仕事に取り組んでも、価値ある仕事というものは生まれるわけではないと。

良い問題を解いてこそだそうだ

受験とかでも、良問を何度も解けとよく言われるのはそういうことなのだろう。

また、その点では無意味な努力をするなと言っていて、”とりあえず努力と根性だ”精神の完全否定だなと感じた。

 

ではどうすればいいかというと、最初にまずイシューを見極めろということだそうだ。

タイトルの「イシューからはじめよ」というのは、良い問題をまず用意しろということなのだろう。

そこでこの本では、よいイシューの3条件を挙げているが、ここで自分が面白いなと思ったのは、現在の自分の技術・状況で答えを出すことができるものであれと言っている点である。

触れてはいけない問題に深みにハマるようなことがないようにとのことである。

この考えは賛否両論ありそうだなと思ったのだが、現実的に解けそうな問題に着手するという考えも持っていて、ふとしたときにどうなんだろうと思案するのもいいのではないかと感じた。

問題は解かれるべきであるという感じで、いかにもコンサルタントの方が書きそうな気がするものである。

 

一読してみて、仕事とは努力で見るのではなく生み出した価値や結果が全てであるというように感じた。

仕事というのは価値を提供してこそのものであるから、この考えは納得ができる。

結果は出ませんでしたけど、頑張りましたでは、仕事としてはナンセンスである。

だから、結果さえ出せば極端サボりまくっててもいいとのことで、このへんのわりきりがしっかりできているのが良いなと思った。

そして、その結果を出すためには、解けそうな問題にフォーカスしろというのは、納得のいくものである。

 

また、研究というのはその意味では仕事なんだなと感じたものである。

 

あと、個人的に他に面白いなと思った点は、この著者がイェール大学で脳神経について専門にやられていたことがあったというところで、理解とは2つ以上の情報がつながることであると言っている点である。

さらに、情報を繋ぎ続けるとつながりが強くなって記憶に残るらしい。

ヘッブ則といわれるものらしく、例えとして、紙を何度も折ると折り線がどんどんはっきりしていくと言っている。

情報に何度も触れるのがいいということなのだろうか?

もうちょっと詳しく見てみたいなと思った。

 

この本はほかにもいろいろと問題解決の仕方を提示していて、なんか行き詰ったときとかに読んでみると良いのではないかと感じた。

 

 

イシューからはじめよ―知的生産の「シンプルな本質」

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